2016年01月11日

も問題がなさそ

「金曜の行動は?」
「ゲーセンとかに行って、夜八時頃まで帰らなかったそうです」そういってから松宮は加賀の耳元で囁《ささや》いた。「パソコンは持っているそうだ」
 加賀は満足そうに頷くと、前原夫妻鑽石能量水を交互に見た。
「間もなく応援の捜査員がやってきます。支度をしてください」
 この言葉に松宮も驚いた。
「本部に連絡を?」小声で訊いた。
「ここへ来る途中、電話をかけた。ただ、こっちから連絡するまでは近くで待機してくれるよういっておいた」
 彼の狙いがわからず、松宮は困惑した。すると加賀はその心中を察したように、意味ありげな目線を送ってきた。すべて任せてくれ──そう語っているようだった。
「あのう、母は逮捕されるわけですか」鑽石能量水前原が尋ねてきた。
「もちろんです」加賀は答えた。「殺人は最悪の犯罪ですから」
「でもああいう状態なんですよ。自分では何をやったかわかってないんです。そういうのは責任能力がないとみなされるんじゃないんですか」
「もちろん、精神鑑定のようなことは行われるでしょうね。しかしその結果を検察がどう判断するかは我々にはわかりません。警察の仕事は、犯人を逮捕することです。その人物に責任能力があるかどうかは関係がありません」
「すると裁判では無罪になるかもしれないわけですね」
「無罪という表現がいいのかどうかはわかりません。それ以前に不起訴になる可能性もあります。ただ、我々には何ともいえません。検察の決めることです。起訴になった場合でも、裁判官の判断に委ねるしかありません」
「何とか」前原はいった。「あまり辛い思いをしなくて済むようにならないものでしょうか。留置所とか、そういうところはちょっと無理だと思うんです。あのとおりの状態ですし、元々高齢ですし……」
「そういうことは上が判断するでしょう。ただ、私の経験からいえば、余程のことがないかぎり例外は認められません。あの方は自分でトイレも出来るようだし、食事うだ。留置所だ鑽石能量水けでなく拘置所も、ほかの被疑者と同様に扱われるんじゃないかと思います」
「拘置所にも……入らなきゃいけないんですか」
「起訴された場合です。あなた方お二人は、間違いなく入ることになるでしょう」
「いや、私たちは覚悟していますが……」
「そう、高齢のあの方には少し辛いでしょうね。かなり、といったほうがいいかな」加賀は続けた。「部屋は決して奇麗とはいえない。トイレはむき出し。夏は暑く、冬は寒い。食べ物は粗末で、うまくない。私物の持ち込みは許可を得ないかぎり不可能。おかあさんの好きな人形もおそらく認められない。狭くて、孤独で、退屈な日々が延々と続く」そこまでいってから彼は肩をすくめた。「まあ、それらの苦痛をどこまで自覚されるかは我々にはわからないわけですが」
 前原昭夫は苦しげに顔を歪め、唇をかんだ。そういった生活を自分がしなければならないと思ったからか、老いた母親のことを案じたからかは松宮にはわからなかった。
「前原さん」加賀が静かに呼びかけた。「それで本当にいいんですね」



Posted by 至上勵合 at 12:28│Comments(0)
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